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制作秘話・ライナーノーツ

14thアルバム『PROPHESIED』制作秘話・ライナーノーツ

・ 読了目安 約8分 ・ 503 bad gateway

14thアルバム『PROPHESIED』制作秘話・ライナーノーツ

IT×メタルのジャケットに行き着いた逆転の発想、穏やかな心境の変化が生んだ豊かな振り幅、そして主要楽曲に込めたメッセージ。14thアルバム『PROPHESIED』の舞台裏。

503 bad gatewayの伊達五十嵐による14枚目のアルバム『PROPHESIED(プロフェシード)』。本作の完成に至るまでには、表現者としての葛藤や心境の変化、そして徹底的なこだわりがあったという。本人が語った舞台裏を、いくつかのエピソードとともに紹介する。

1. 葛藤から生まれた「IT×メタル」のジャケットデザイン

今回の制作において、最初に大きな壁となったのが「ジャケットデザイン」だったという。過去のイベント(M3)などを通じて、「一見してメタルバンドだと伝わりにくいデザインだと、メタルを求めてスペースに来てくれる人になかなか届かない」という課題を抱えていたとのこと。そこでストレートにメタルらしいデザインに寄せようと試みたものの、今度は「いつもの自分の味」が崩れてしまい、ありがちなもの・クオリティの低いものになってしまうというジレンマに陥ったそうだ。

悩んだ末に行き着いたのが、「自分のアイデンティティである『IT』の文脈の中に、メタルを大きく融合させればいい」という逆転の発想だったという。「はるかイニシエのインターネットブラウザ(Netscape風)で、メタルバンドのウェブサイトを開いている」という世界観を設定し、Windows 95/98時代を彷彿とさせる懐かしいUIデザインに仕上げたとのこと。

このデザインはすべて手作業による地道な構築の賜物だという。背景に映る「ソリティア」の画像は、実物を見ながらドットをちまちまと描き起こしたもの。さらに、CDの盤面(レーベル面)は当時のOSの「インストールディスク風」のパロディとなっており、通常CDに入っている「compact disc」ロゴの代わりに「伊達(DATE)」ロゴを忍ばせるなど、30代〜40代の世代に深く刺さる細かなこだわりが散りばめられている。2日間にわたる徹夜のデザイン作業を経て、納得のいくビジュアルが誕生したと振り返る。

2. メンタリティの穏やかな変化と、楽曲の豊かな振り幅

今作の制作初期、自身のメンタリティが非常に穏やかな時間を求めていたことから、楽曲制作のスタートはいつもとは少し違うアプローチから始まったという。激しいパワーメタル一辺倒ではなく、その時のリアルな心境がそのまま音へと紡がれていったとのこと。

この心境の変化と向き合いながら、最初に形になったのが2曲目の『MIDNIGHT TRAIN(ミッドナイトトレイン)』だという。夜のドライブやバイク、列車の窓を開けて風に吹かれるような心地よさをイメージした、穏やかで奥深いメロディック・ハードロック(メロハー)が生まれた。

この「穏やかなメンタリティ」の時期にじっくりと楽曲を生み出したことを起点に、そこから徐々に本来の力強い馬力や「いつもの味」が合流。結果として、激しいメタルから極上のバラードまで、これまでの作品以上にブレ幅が広く、豊かなグラデーションを持つアルバムになったと語る。

3. 主要楽曲に込められたメッセージと裏話

『THE REASON(ザ リーズン)』

アルバムの4曲目に配されたこの曲は、伊達五十嵐自身が「今回のアルバムの軸(中心)にある」と語るほど強い思い入れがある楽曲とのこと。日々を懸命に生きるすべての「活動者(頑張っている人)」たちに向けて、「お前がやっていること、流した涙のわけは、俺が見ているし知っているから、迷わずその道を進んでくれ」と全力で叫び、背中を押すメッセージソングになっているという。安易に「君は悪くないよ」と甘やかすような安っぽい言葉は使いたくない——そんな真剣な寄り添い方を歌詞に込めたと話す。

『PROPHESIED(プロフェシード)』

アルバムのメインステージを締めくくるタイトル曲であり、制作の「本当に最後の最後」に完成した楽曲だという。歌詞を書き進める中で、前作『OracLE(オラクル=神託・導き)』のその後を描く、明確なストーリーの続きであることに気づかされたとのこと。『OracLE』が“導く側(告げる側)”だったのに対し、今作の『PROPHESIED』は“予言・信託を受けた側(俺がいるぜと言われた側)”の視点。疾走感の中に、弱さを克服して強く踏み出していく力強さと儚さが同居している。また、静寂が訪れるCパートの歌い方については、メリハリをつけるために親しいVTuberの意見を取り入れるなど、周囲との対話からブラッシュアップした挑戦的な一曲だと振り返る。

『AM4:00(フォーエーエム)』

完全にメタルではない、カントリー系のバラード曲。これまでのスタイルであれば「ボーナストラック」に回しそうな楽曲だが、あえてメインのトラックリスト(3曲目)に配置したという。これは、近年の自身の心境の変化をそのままアルバムの地続きのストーリーとして表現したいという、音楽的な成熟の表れでもあるそうだ。

すべてを詰め込んだ、円熟の一枚

仕事が多忙を極める中、体調を崩しかねないほどの凄まじい熱量を注ぎ込んで完成させたという14thアルバム『PROPHESIED』。激しいメタルから穏やかなバラード、形成された独自の「IT×メタル」の世界観、そしてCD盤にのみ収録される久々のギターインスト(ボーナストラック)まで、503 bad gatewayの「やりたいこと」がすべて詰まった、円熟の一枚に仕上がっている。

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